1998年イギリス映画
監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット、ジョセフ・ファインズ
赤のシーリングワックスに、コブシ大の大きな丸いシーリングスタンプを押すシーンから映画が始まります。どんな模様なのかは、画面に映らないので分かりません。残念。
教皇紋章が入った
バチカンの国章
次にシーリングワックスが出てくるのは、ローマ教皇(たぶんピウス5世)が密書に封をするシーン。金色(ベージュにも見えます)のシーリングワックスです。こちらも大きな丸いスタンプ。模様は、三重冠と交差する2本の鍵に組紐が描かれた「教皇紋章」です。
各教皇ごとに、微妙にデザインの違う固有の「教皇紋章」があったそうなので、歴代教皇紋章一覧のようなものがあったら、是非見てみたいです♪
どちらのシーンでも、スタンプを押すときに「バン!!!」と裁判官が木槌をたたくようなすごい音がします。そんな乱暴な押し方をしたら、ロウが飛び散って刻印部分が薄〜くなっちゃいます(×o×)
大きくて丸いスタンプ
実際は丁寧に押していて、演出の為に後から派手な音を入れたのだと思われますが、ドキッとするシーンでした。
この映画には続編として「エリザベス・ゴールデンエイジ」があり、スペインの無敵艦隊に打ち勝ってイギリスの黄金時代が始まるところまでを描いています。主演のケイト・ブランシェットの甲冑姿が素敵でした。でも、続編ではシーリングワックスの出番はありません。残念!
2005年イギリス テレビドラマ
出演:ヘレン・ミレン、ジェレミー・アイアンズ
上記の映画「エリザベス」に味をしめてこちらもチェック。期待通りシーリングワックスが登場してくれました♪
イギリスで放送されたテレビドラマで、前編と後編に分かれています。日本の大河ドラマのイギリス版といった雰囲気。
前編の終盤、スコットランド女王メアリーの処刑を命じる書類にエリザベスがサインを求められるシーンで、シーリングワックスが出てきます。
書類にシーリングワックスがブラブラ
巻紙状の書類の端からたれたヒモの先に、大きなワックスがぶら下がっています。このシーリングワックスは封をする目的ではなく、日本でいう印鑑のような意味があります。正式な書類であることの証明や、書類を認可したという証明です。
多数の人物から認可を得る必要がある書類だと、各人物それぞれの紋様が押された何十個ものシーリングワックスがぶら下がることもあったそう。
大きいし、ブラブラしているし、割れることがなかったのか気になります。エルバンがシーリングワックスの品質改善をする70年以上も前のこの時代、どんな品質のワックスを使っていたのでしょうか。
割れるような硬質タイプではなくて、ロウソクの蝋に近いような柔らかい質感だったのかも?ご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ教えて下さい!
2004年アメリカ映画
監督:ジョエル・シュマッカー
出演:ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム
ファントムからの手紙に、シーリングワックスが使われています。血のような深紅のワックスに、スカルの紋章。妖しい雰囲気が怪人のイメージにぴったりです。
このシーリングワックス、こんもり盛り上がっていて、超立体的。タコ焼きくらいはあります。
こんなの、すんごい量のワックスを使って、スタンプの模様も深〜く彫らないと無理。おそらく、プラスチックで封蝋風に作ったのだと思われます。
このシーリングワックスを押すシーンもあるのですが、とっても豪快&テキトー。以下、私の心の声とともにご紹介します。
ゆるゆるに薄く流れたワックスに、スタンプをギュー。
(こんもり押すには、もっと冷ましながらワックスを盛らないと。しかもギュウギュウしたら、ワックスが平べったくなっちゃう〜)
押したと思ったら、乱暴にスタンプをはがす。
(少し冷めてからはがさないと、スタンプにワックスがくっついちゃうよ)
案の定、ワックスがスタンプにくっつき、ネバーっと糸を引く。
(あーあ、失敗だよ〜。ワックスが薄くのびちゃって、紋様もぐちゃぐちゃね。)
ところが!あーら不思議、くっきり綺麗にスカルの紋章が押せているではありませんか。プラスチックの完成品を仕込んでいたのか、それともCGでしょうか。
なんだい、もー。
まあ、シーリングスタンプをそーっと丁寧に押すファントムでは、何だかイメージと違いますからね。シーリングワックスを押す些細なシーンにもファントムらしさを追求している、こだわりの映画でした。